呪いのビー玉

 だれもが打ち捨てた作家が、だれも見ない声明を発した。

「我は、人類を滅亡させるべく、ビー玉に呪いを込めた。
このビー玉は1分に1人、人間を撃ち抜き、殺す。
この呪いはいかなる手段をもってしても打ち消せない」

 不審死は存在し、人は1日に万の単位で死んでいく。

 そこへきて、呪い。

 それをビー玉の呪いであると、彼は妄言した。


 しかし、警察を含め、当局はまたしても、この声明を握りつぶした。

 愚問であった。

 巨大な死の流れがある。

 1分に1人、人間が死んだとて、それは全体に収束されていく。


 毎分1人は確実に死ぬ。

 止まらない。

 逃れられない。

 だが、それを「狂言」として処理できる理由が存在した。

「最後は、これを作った我を撃つ。
そして、人類は死滅するのだ!」

 お笑い種である。


 たとえ出生が止まったとしても、今生きている人間が絶滅するには、1分に1人殺せたとて、長い年月を必要とする。

試算

現在人口を約83億人と置く。

単純計算では、

83億 ÷ 60 ÷ 24 ÷ 365 ≒ 15,793年

 滅亡まで、およそ1万5800年。

 しかも出生が続く限り、人類は普通に増え続ける。


 しかし。

 確実に彼が人を殺しているとして、それを放置?

 “真実かもしれないのに放置される”


 呪いなどというものは存在しない。

 呪いなど過去の遺物である。

 だが、その筋は近現代までのことで、逆に科学技術の発達により、呪いを具現化できる条件を導ける世界になったとも考えられている。


「ナンセンスとは言えども、本当に1分に1人殺してる?
どうするんですか?」

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